先ほど脳は、硬い骨である頭蓋骨で守られていると書きましたが、その頭蓋骨内で出血などの損傷が生じてしまった場合は、逆に脳に悪影響を及ぼす要因となってしまいます。出血は血腫(血の塊)となり、正常脳を圧迫し、さらに損傷に伴う脳のむくみ(脳浮腫)によりさらに脳への圧迫は強くなります。脳は潰されないよう外へと逃げようとしますが、周りは頭蓋骨という硬い壁で囲まれているため外へ逃げることが出来ません。そのため、下方にある僅かな隙間に逃げこんでしまうため、その隙間の近傍にある生命の中枢である脳幹部を圧迫してしまい、脳の機能停止(脳死)に追い込んでしまいます(脳ヘルニア)。そのため、頭蓋骨内で大きな損傷があった場合は、出来るだけ早く(脳幹が機能停止になる前に)その原因となっているもの(血腫など)を取り除くか、脳の逃げ場を作る(頭蓋骨を一時的に外すなど)ことが、救命のため必要となります。
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