症状は、下垂体腺腫が大きくなりまわりの神経を圧迫することによる症状と、内分泌の症状(ホルモンが過剰に出ることによる症状)との2つに分けられます。
腫瘍が大きくなると目の奥や額に重い感じや鈍い痛みを感じることがあります。腫瘍がさらに大きくなると、下垂体の上にある視神経と呼ばれる眼からの情報を脳に伝える神経が下から圧迫され、眼で見える範囲が狭くなります。
見えない範囲は、外側の上のほうから徐々に拡大してきます。患者様は、最近、斜め前から来る人にぶつかりやすくなった、赤信号で停止していたら後ろからクラクションを鳴らされ、信号を見上げると青になっていた、などの症状を訴えます。また、眼科を受診することで初めて、下垂体腺腫を指摘されることも珍しくありません。
内分泌の症状には次のようなものがあります。プロラクチンと呼ばれるホルモンが多くつくられると、月経異常、乳汁分泌、性欲減退、インポテンツなどが現れます(プロラクチン産生腫瘍)。成長ホルモンが多くつくられると、身長の異常な増加、指が太くなる、唇が厚くなる、あごが前に突き出る、高血圧、糖尿病などが現れます(成長ホルモン産生腫瘍)。副腎皮質刺激ホルモンが多くつくられると、肥満、色素沈着、多毛、高血圧などが現れます。そのほか、腫瘍の種類によっては、下垂体からのホルモンの生成が抑えられる症状を現すことがあります。
最初に月経異常や不妊症で産婦人科を訪れたり、高血圧や糖尿病で内科を受診したりして、そこから内分泌内科、脳神経外科へ紹介される場合もあります。
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